ラップランドで夏休みを過ごした私たち。
王様の散歩道(クングスレーデン/Kungsleden)と呼ばれるトレイルを歩きました。
トレイルの予定はこちら。
1日目:15km
└(アビスコツーリストスタフン/Abisko turiststaion→アビスコヤウレ/Abiskojaure)
2日目:20km
└(アビスコヤウレ/Abiskojaure→アレスヤウレ/Alesjaure)
3日目:25km(峠越え含む)
└(アレスヤウレ/Alesjaure→セルカ/sälka)
4日目:12km
└(セルカ/sälka→シンギ/singi)
5日目:14km(夜20時までに到着必須)
└(シンギ/singi→ケブネカイセフェルスタフン/Kebnekaise Fjällstation)
6日目:ケブネカイセ登頂
7日目:19km
実際に歩いた距離はこちら。
1日目:約19km
└(目的のアビスコヤウレを2kmほど過ぎて終了)
2日目:約23㎞
└(目的のアレスヤウレを5kmほど過ぎて終了)
3日目:約20km
└(目的のセルカで終了)
4日目:約14km
└(目的のシンギを2kmほど過ぎて終了)
5日目:約12km
└(目的のケブネカイセフェルスタフンで終了)
さて、王様の散歩道6日目、スウェーデンで一番高い山、ケブネカイセ登頂です。
—————-
ドキドキワクワク、ツアーに参加しての山登り。
ツアーに参加しなくてもちょっと遠回りのコース(氷河を通らない)でケブネカイセに登ることができます。
が、ツアーなら往復10時間、遠回りコースは往復14時間。
4時間の差。
事前に電話でスウェーデン観光協会に遠回りコースについて聞いてみました。
晴れてたら何の問題もなく行って帰ってこれます、とのこと。
天候が悪くなると、帰りに迷う人が多くなるそうで、コンパスなどでしっかり確認しないといけません、とのこと。
ちょうど予定していた日のツアーが残り3席。
残ってるならツアーで行ってみるか!と申込み。
これが私の不幸のはじまりとは知らず…
当日の天気は晴れ。
前日のツアー説明会でバックパック、ヘルメット、ハーネス、ウォーキングスティックを無料レンタル(ツアー代に込み)。
持っていなかったものとして、サーモスを借りました。
前に富士登山をした時、寒くて寒くて、8合目で温かいコーヒーを沸かして飲んで一息つけたので、サーモスは念のための必需品。(しかし壊れてて全く温かくなかったお湯…)
ランチパックがツアー代に含まれていたので、朝早く起きて、レストランで自分で好きなようにサンドイッチを作って詰めました。
楽しみだねー、と笑顔の私と旦那さん。
この先に起こることなど何も知らず…
メンバーは私たちと他4名。
それにガイドさんと見習いガイドさん(他4名のお客さんの身内のようでした)で計8名。
少人数っていいよね。
朝7時10分集合、そしてスタート。
あれ…
これは…
この人たち、ペースが速い…
結構必死でついて行く私。
まさか、まさか…
このツアー、30分に一度5分の休憩をとるそうですが、遅れてしまいその休憩までに追い付かなくなってしまう人は氷河の手前で一人で帰らされます。
まさか、まさか…
必死の私を微笑みながら見る旦那さん。
いや、私、スピードマックスやで。
約1km歩いて、山のふもとで1度目の休憩。
水を補給するいいスポットですよ、とのこと。
これは確認しとかな、と思い
「このシュンシュンっていうスピードでずっと行きますか?」
とガイドさんに質問。
「シュンシュンって?んー、ゆっくりは行かないけど、もう少しスピード落とそうかな。もし早いと感じる場合は先頭にいるガイドのすぐ後ろをついて来るといいよ。後ろ側だと差が広がってキツクなるから」
とのこと。
OK!
すぐさまガイドの後ろを陣取る私。
続く旦那。
多分10代後半から20代前半と思われる他のメンバーはおしゃべりしながら元気いっぱいです。
すでにマックスのスピードで歩いていた私は、少し気分が悪くなってきました。
ケロリン。
歩きながらひとくちゲロでました。
何もなかったかのようにガイドについて行く私。
ケロリン。
はい、2度目のひとくちゲロ。
まだ山にも登っていないのに。
朝一でマックススピードで運動すると吐く、というのは前にも一度ありました。
あれは自転車で九州縦断していた時、屋久島の登山口まで自転車を飛ばしていたら吐きました。
その経験より、吐いた後は元気になることを知っていたので、平静を装うに限る。
旦那さんには休憩の時に日本語で「ゲボしたわ」と伝えましたが、意味がわからなかったようで、夕方に「あれって吐いたってこと?」と聞かれました。
すぐ後ろを歩いてた人にも気づかれず吐く能力よ。
しばらく進むと「ここからは急な登りが続きます」とガイドさん。
その後、お腹がまだ気持ち悪いので、後ろにいる旦那にバックパックを渡しました。
「ごめん、持って」
最小限の言葉しか云えない私。
息があがって、ただただ必死。
それでも遅れずに何とかついて行った私ですが、その後の休憩でガイドさんが注意を。
「友達に水なんかを取ってもらうのはいいけど、バックパックごと渡すのは負担になるからやめましょう。重い場合は中の荷物を先に渡しましょう」
ふと気が付くと、他のメンバーでどうやら40歳男性(話の内容で年齢判明)も誰かにバックパックを持ってもらっていました。
旦那さんがバックパックの中身を移してくれるかな、とちらっとよぎりましたが、そんなわけない。
うちの旦那さんはスウェーデン人。
云われないことは望まないこととみなすお国柄の人。
話す元気がなかった私は、休憩終わりにバックパックを自分で背負いなおして登山続行。
やっぱりペースが速いのか、息が尋常じゃないくらいあがり続けます。
気持ち悪くなってきたので、またもやバックパックを旦那さんに託しました。
私は周りをみる余裕がなかったので気づかなかったんですが、後の旦那さん談によるとガイドさんが
「あかんわ…(Det har kommer aldrig att gå…)」
とつぶやいていたそうな…
その後も必死についていく私。
誰かに「大丈夫?」と聞かれると笑顔で「大丈夫!」と返せるのはなぜ。
必死、必死、必死。
こんなに息があがることがあろうか。
いつガイドさんから
「You、もう帰っちゃいなよ」
と云われるかと思いながらの登山。
途中の岩がゴロゴロした(登りではない)ところでは人を抜かすこともできました。
写真を撮る余裕も(笑)
さあ、氷河に着きました。
ここからはヘルメット、ハーネス着用。
ロープでチーム全員がつながって行きます。
途中に氷河の割れ目、クレバスもいくつかあります。
青いクレバス。
あぁ、きれい、と思いつつ、遅れないように必死について行きます。
氷河を渡ったら次は崖のクライミングです。
クライミング。
やっててよかった、スペインで。
途中でチームメンバーを待つほど余裕しゃくしゃく。
写真ではすごい崖に見えますが、全然難しくない初心者コースだと思います。
景色はいいし、最高です。
途中、ツアーじゃない個人の人もいました。(クライマーの方と思われます)
渡ってきた氷河を見下ろします。
崖を登ったら第一回目のランチです。
この時点で11時半くらい。(出発から4時間ちょっと)
まだ登るので、私は飴とかレーズンとかしか食べず。(また吐くと困るから)
この人大丈夫か?というくらい息をあげながら頂上を目指します。
ランチ後からはガイドさんの後ろをつかず、最後尾を歩いていました。
頂上が見える、でも死にそう、と思っていたら「ジャパーン!」と声が。
あ!
数日前に抜きつ抜かれつを繰り返したフランス人3人組です。
こんなところで会うとは!
なんだか嬉しくてハグ。
元気をもらいました。
小一時間で頂上にたどり着きました。
ツアーの人はハーネスについているカラビナを頂上からでているロープにつなぎます。
次々人が登ってくるので、滞在時間はほんの数分。
見よ、辺り一面、山、山、山。
素晴らしい美しさ。
チームのみんなは歩いておりていたんですが、プラスチック袋を用意していた準備のいい私。
チームのみんなに「バイバーイ!」と手を振って、袋をお尻に敷いて一気に滑り降りました。
この人死ぬんじゃないという感じで登ってた人と同一人物とは思えないはしゃぎっぷり(笑)
その後、2度目のランチ。
もう登らなくていいと思うと急にお腹がすきました。
がっついてランチを平らげました。
クライミングをしながら崖をおりる途中、雨が…
すぐやむという旦那さんの予想とは裏腹に雷が鳴り始めました。
横殴りの大雨。
崖を下り終え、氷河を渡ります。
「天気が悪いので急ぎます」とガイドさん。
行きと同じようにロープでチーム全員がつながって行きます。
が、帰りは走りますとのこと。
普通の靴ですが、スキーのように滑って走ります。
きゃーっ!
速い、速い、速いーっ!
ついていけないーっ!
私スキーしないんですーっ!
バランスを崩した私はお尻をつく形で転びました。
が、すごいスピードですべっているので止まりません。
ロープでつながっているので引きずられていきます。
立とうと試みますが、無理。
もう為すがままに、されるがままに引きずられるだけ。
これは犬ぞりか?
私の前を走るのは4人。
そうか、人が4人もいれば私(と後ろの人もこけてた)ぐらい、こんなスピードで引きずれるものなんだ。
能面の表情で連れていかれる私。
前を走っていた旦那さん曰く、私が転ぶとロープが左右にブンブンと振られるので「あぁこけてる!」とわかるそうですが、止まろうにも前3人の勢いで為すすべはなかったと(笑)
引きずられたまま氷河を横断。
後は下るだけ、と思っていたらどうやら雪が残った斜面を滑り降りて帰るようです。
おう、お尻で滑るのは得意だぜ。
が、これが、まだ滑るんか!というぐらい長い。
皮下脂肪の薄いうちの旦那さんは途中から尾てい骨が傷み、立ち上がって走っていました。
山のふもと近くで解散。
後はゆっくり散策したい人はどうぞ、とのこと。
そんな元気あるかい、ということでテントへと向かいます。
靴を十分に履きならしていなかった人もいて、頂上から下山時にどんどん遅れていき、ふもとでは目に涙がたくさんたまっていました。
靴、重要。
他にも「膝が心配だったけど、どうやら小指がぐちゃぐちゃになってる気がする」という人も。
みんながんばったね。(うちの旦那さんは屁の河童だったようです)
借りていた装備を返却しに行くと、ガイドさんが冷たいリンゴンベリーのジュースをふるまってくれました。
そこでガイドさんが私に一言。
「本当に…ね!」
そしてヘラヘラとお互いに笑いあっていました。
旦那さんも私も、ガイドさんはみなまで云わなかったが、「ダメかと思ったね」って喉まででかけてたよね、と意見が一致。
本当に登ったのか、実感がない登山でした。(きつすぎて)
この日から、私と旦那さんの会話のメインは私のケブネカイセ登山について。
終わったことなので、話すたびに笑いがこみあげてくるダメっぷり。
スウェーデンに来て5年。
最近の約2年は在宅ワークで、家から一歩もでないこともしばしば。
出ても車でぶーんとおでかけ。
東京マラソンでフルを走ったのも遠い過去。
九州を自転車で縦断したのも遠い過去。
スペインを自転車で2100km走ったのも遠い過去。
富士登山をしたのも遠い過去。
過去にできたことが今でもできるとしたら、それは日々の積み重ねあるのみ!
これじゃいかん、と家に帰った翌日に電気屋さんに行き、スマートウォッチを購入。
歩数計がついているので、1日1万歩、歩いています。
生まれ変わるぜ。
さて、この日は疲れたのでお腹が空かず。
晩ごはんは特になし。
さて、いよいよ最終日。
その8)王様の散歩道 サーミのカフェ巡り、に続きます。
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本日の楽ちん情報はこちらです。
ケブネカイセ頂上までヘリコプターで行けます。
KALLAX FLYGという会社主催のニッカルオクタからの往復20分ツアー。
ヘリコプターは貸切りになるようです。
1~4名は5900kr(76700円くらい)
5~7名は8150kr(105950円くらい)
頂上で20分自由時間があるので、最後のひと登りを自分の足で踏みしめることもできます。
実際に、お父さんらしき人が「5歳の子が自分の力でケブネカイセに登ってるんだよ、見て、見て!」と頂上で云っていたので、「5歳でも登れるのに私は何だ…」と思っていたら、旦那さんが「ヘリコプターで来たって云ってたよ」と教えてくれました。
ニッカルオクタから往復、そして頂上で降りれるので人数で割れば全然高くないです。
周りの山々が見えるのを考えれば安いかも。
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■ラップランドを旅するシリーズはこちら↓
・その1)寝台列車
・その2)王様の散歩道 Abiskoからスタート!
・その3)王様の散歩道 Alesjaureを目指して川を渡る
・その4)王様の散歩道 峠越え
・その5)王様の散歩道 蚊の来襲
・その6)王様の散歩道 どの山がケブネカイセですか?
・その7)王様の散歩道 山をなめるな!ケブネカイセ登頂!
・その8)王様の散歩道 サーミのカフェ巡り
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